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2018年2月10日 (土)

(本格派シリーズ)本格的な伝統舞台

 本格的な伝統芸能がまとめて鑑賞できるコーナーがあると聞いて、行ってみた。新幹線を乗り継いで5時間、古都らしい昔風の町並みを抜けると、奇抜な形のビルの1階に、それはあった。

 既にチケット売り場には、大勢の外国人観光客が列をなしている。僕もインチキ外国人のフリをして入ろうかと思ったが、インターネット割引の紙(日本語)を見せて割引交渉しなくてはいけなかったので断念した。

 2800円も払って中に入ると、一面緋色の絨毯に座席が200席あまり。正面には温泉旅館の宴会場くらいの大きさの舞台があって、緞帳が下がっている。場内にはお琴のBGMが流れていて、日本らしさを醸している。もっとも、よく聞くと曲目がイルカの「名残り雪」なのが、気にかかるが。

 僕が座った後も、続々と観客が入ってくるが、ほとんどが白人系の外国人ばかりである。しかもしゃべっている言葉は英語でなく、何語かよくわからない。金髪、茶髪、赤髪とさまざまで、パフュームのいい匂いがそこかしこに溢れ、まるで一時期の荒れた成人式のようだ(全然荒れていないけど)。

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 さて、お琴のBGMがスピッツの「ロビンソン」に変わってほどなくブザーが鳴ると、先ほどのチケット売り場の女性が出てきて前説を始めた。さすが国際観光都市、説明も日本語と英語両方で行っている。あれ、茶道でお茶をふるまうゲストは英語でしか募集していないぞ。さっそく勢いよく白人男性が手を挙げた。

 まずは、舞台上ではなく、観客席の右手奥にあるテーブルで、和服のおばさまが抹茶を立て始める。あ菓子を配るお姉さんも、絵に描いたような「アルカイック・スマイル」を浮かべるだけで、一言も発しない。典型的なノンバーバルアトラクション芸である。

 突然、舞台の緞帳が上がると、和服の中年女性が4人正座している。まずは右の二人がお琴を弾き始める。ほどなく、今度は左の2人が生け花を始める。開始5分で、茶道と華道と箏曲を同時進行で紹介してしまった。見事なマルチ・ディスプレイであるが、右手のお茶を見ればいいのか、舞台を見ればいいのか、首が定まらない。

 緞帳が下がって舞台転換。バイリンガルな説明の後、次は雅楽が始まった。観客の写真撮影は自由なので、朱色の華やかな舞台が広がると、途端に外国人記者クラブの記者会見のような様相になった。

 こらこら、10インチのiPadを高々と掲げて撮影しては、後ろの人の迷惑だって。

 さて、雅楽の次は狂言である。これまでのノンバーバル・パフォーマンスではなく、演技者が台詞を喋る。題目は「棒しばり」、ジャパニーズ・スラップ・スティック・コメディーの神髄が全て詰まった、鉄板の演目である。

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 しかし、これが外国人観客に全く受けない。状況設定を日本語の台詞で処理しているので、外国人には伝わらないのだ。なぜ、2人とも縛られたのか。次郎冠者が汲んでいるのは酒であるとか。英文のパンフレットには簡単に書かれているようだが、先ほど見たように、白人系であっても英語が通じる観客が少ないから仕方ない。

 でも、しんとした外国人の中で僕一人笑っているのは、ちょっとした優越感だ。よく映画館で、字幕より先に英語の台詞を聞き取って笑っている外国人って、いるでしょう。ちょうどその状況なのである。

 狂言が終わると、次は京舞。舞妓さんが2人出て来た。元々はお座敷芸だし、和服を着ているから、そんなに大きな動きはない。にもかかわらず、外国人カメラマンの皆さんは、今日一番の盛り上がりで、盛んにシャッターを切り始めた。連続シャッター音も響きわたる。連写するほどの動きもないんだけど。

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 いよいよ大トリは文楽だ。ご存じ、八百屋お七・火の見やぐらの段。黒ずくめの人形遣いがKKK(クー・クラックス・クラン)みたいだが、坂本冬美も唄い上げた名シーンだ。

 オー・マイ・ゴーシュ! 先ほどの狂言と同じく、状況説明や台詞は録音の義太夫がしゃべっているだけなので、狂言と同じ悲劇がお七を襲う。日本語が分からない外国人観客には、後ろにある大鐘が釣られた木造の塔が何なのかわからないだろう。お七が火の見櫓の頂上まで登り切って、上に飛び乗るシーンでは、悲劇なのになぜか笑いまで起こる始末。これでは、振り袖火事で焼け死んだ人も浮かばれまい。

 あっという間の50分間で、日本の伝統芸能が7つも楽しめる夢の舞台であった。しかも、ホテルのロビーに置いてある割引券や、一日バスカードを見せるだけでも料金が割引されるリーズナブルさ。

 まあ、2度と行かない。
 教育テレビをつけていれば、どれも無料で見られるから。

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