(新シリーズ)明智こぶ郎の事件簿
俺の名前は明智こぶ郎。しがない探偵もどきだ。
だが、張り込みも、尾行も、格闘もしない。
武器は目の前のパソコン一台。
ただの安楽椅子探偵(アームチェア・ディテクティブ)と世間は蔑むだろう。
でも、人の居場所なんて、案外たやすく見つけられるもんなんだぜ。
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俺の手がけた最初のヤマは、こんな話だった。
奈高京低( )
見も知らない写真一枚から、その風景を撮影した「S寺」の場所を当てろというのが、犯人からの最初の挑戦だ。
俺のやり方はいつも正攻法だ。
京都の社寺リストからSで始まる寺名を探し、グーグルマップで位置を確認して、犯人の足取りを推理する。一方で、写真に含まれる情報をつぶさに捉え、日差しの強さと方向、影の長さから撮影時刻を推定する。
最初の推理の誤りは、犯人は旅先で疲れているだろうと喫茶店から近い場所を想定したことだった。バスを使うにしても、京都市内のあの混雑ぶりでは乗る気がしまい。
しかし実際には、地下を走る京阪電鉄を使えば、思った以上に早く遠くまで移動できたのである。
推理の決め手は「山の形」だった。Sで始まる寺を訪れた旅行記のブログ記事に掲載されている写真と、犯人が示した写真を比較して、同じ形の山が写っているかを地道に辿る作業が功を奏したのだった。
ネットを駆使すると言っても、コンピュータが自動的に何かを教えてくれる訳ではない。その時の犯人の体力や立場ならば、どういう行動をとるか。仮説を立て、与えられた物証から特徴を見つけて比較し、裏を取る地道は作業を黙々と続けるだけだ。
俺の奴との戦いは、こうして始まった。
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